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小説や作詞について書きますし、余計なこともたくさん、そして自分の決心について日々思うことなんかも書くかもしれません

「Air」.97

シャリリーン♪
「空斗くん!お料理とーってもおいしかったね!」
「そうだね、本当にすごく美味しかった!ピザ美味しかったな~」
「あははっ、空斗くんは、ほんとにピザが大好きだね。」
「もちろん」
空斗くんに案内されたお店は広場からほんの少し歩いたところにあるイタリアンのお店だった。テーブルに座って窓の外を見ると、さっき見た素敵な光景が窓越しに眺める事が出来た。お料理はどれも美味しそうだったから、いろんなもの頼んで二人で分けて食べたんだ。
「分けて食べよう。」って言ったのはわたしだけど、緊張しちゃったの。それにね、お会計はまた空斗くんが払ってくれたんだ。わたしは割り勘で全然構わないのに。でも、「希は大切な人だから」って言って払ってくれる彼の気持ちが本当に嬉しかった。
「……まだ時間大丈夫かな?」
「大丈夫だけれども。どうして?」
「近くに綺麗な公園があるんだけど、よかったら行ってみない?」
「うん!行きたいな!」
「よかった。でも行く前にジェラート食べていい?」
ジェラートって?」
「あそこのお店のジェラートだよ」
空斗くんが指さす方向におしゃれなアイス屋さんがあった。
「空斗くんはいつもあのジェラート食べてるの?」
「うん。あそこのジェラートすごく美味しくてさ」
「じゃあ、わたしも食べる!」
「希も?お腹いっぱいじゃないの?大丈夫?」
「わたしも空斗くんの好きなジェラート食べてみたいんだ。」
「……ありがとうね。じゃあ、一緒に食べよっか」
「うん!ジェラートのお店と公園って近いかな?」
「お店の後ろの通りを少し歩いた道路の向こう側だよ」
「外は寒いからジェラートも溶けないと思うし、公園で一緒に食べない?」
「うん、いいよ」
「空斗くん途中で食べちゃダメだからね?」
「……我慢できるかな」
「絶対ダメだからね!」
「わかったよ、行こう」
「うん!」

「Air」.96

大門で降りたわたしと空斗くんは大きな通りをずっと真っすぐに歩いている。でも、これって本当に新橋に向かっているような雰囲気だけど、大丈夫かな?胸の内は少し心配だった。
「ちょっと遠かったかな。希は疲れてない?大丈夫?」
「うん、わたしは大丈夫だよ!」
「それならよかった。ここを右に曲がるからね。ちゃんと前を見ていてね」
「うん。」
右に曲がって少し歩くと空気が変わったような気がした。「あれ?なんだか変」…そう思いながら一歩、また一歩と足を前へ踏み出す。
「着いたよ」
空斗くんのその言葉と同時にわたしの目の前には信じられないくらい綺麗な光景が飛び込んできた。
「すごい…日本じゃないみたい。」
赤レンガで彩られた建物や道路。それに広場に置かれた黒色のベンチ。他にだって…… それらが醸し出す雰囲気が、わたしをまるでイタリアにいるような気持ちにさせてくれる。
「気にいってくれたかな?」
「うん!綺麗だし、とってもおしゃれ…汐留にこんなところがあったんだ。」
汐留という街に正直期待はしていなかった。それでも空斗くんと一緒にクリスマスイブを過ごせるならそれで十分かなって思っていたけど、今目の前に広がる光景たちがわたしのイメージを180度ひっくり返した。
「それはよかった。ここは落ち着いていてすごく好きなんだ」
「わたしも好き!」
「来たばっかりなのに?」
「うん!もう好きになったよ!」
「本当に気にいってくれたみたいでよかったよ。じゃあ、ご飯食べに行こう」
「うん!」
この街を空斗くんと一緒に歩けてとても幸せ。

「Air」.95

「ねえ、空斗くん。今日はどこ行こっか?」
この時のわたしはこれ以上ないくらいの笑顔だったと思う。
「今日の終了予定は6時だから…夜遅くなっってもいけないから希の帰り道のどこかにしない?」
「でも、それだと空斗くんが大変じゃない?」
「おれはいいんだ、希がなによりも大切だから」
「えっ…そんな。嬉しいけど、恥ずかしいよ。」
もう周りは薄暗かったからなんとか空斗くんの方を見ていられたけど、明るかったらそうは出来なかった。
「だって、希が素直になっていいよって言ってくれたから」
「そうだったね。でも…本当にいきなり素直になったね。」
「うん。おれの素直な気持ちだから」
空斗くんの気持ちがわたしにはとっても嬉しかった。
「ありがとう…じゃあ、大門辺りはどうかな?」
「いいけど、それだったら汐留はどう?」
「汐留?」
「うん!おれは汐留が好きでたまに遊びに行ったりしてるんだけど、希はあんまり行かないかな?」
「汐留は通ったりはするけど、遊びには行かないかな。汐留って新橋の隣だし、あの辺って大企業のオフィス街じゃない?」
「そうなんだけど…いいや。おれを信じてついてきてくれないかな?きっと希も気にいってくれると思う」
「うん、わかった!空斗くんのこと信じてついて行くね。」
汐留って、わたしにはどうしても隣の新橋の印象が強くて、ガード下の立ち飲み屋さんが多く並ぶイメージ…クリスマスイブの夜っていうロマンティックな響きから少し不安も感じていたんだ。…でも、きっと大丈夫。空斗くんはそう思える人だから。
「ありがとうね!おれも少し久しぶりだから楽しみだな。お店も任せてもらっちゃって大丈夫?」
「うん!いいよ。」

「Air」.94

「今日は少し時間余ったね。…少し遠回りして戻る?」
「うん。そうしよっか。」
東京湾の彼方では夕焼けと海とが入り混じっていて、工業団地側を見ると夜がすぐそこまで来ていた。そんな風景がわたしを緊張させている理由の一つなのかもしれない。やっぱりまだ慣れないな、この緊張感に。
「……今日の演技すごくよかったなって思ったんだけど、希は手応えあった?」
「うん、今日は上手にこなせたって自分の中でも思っているよ。それに伊藤さんにも褒めてもらえたし。」
「伊藤さんに褒めてもらえたならすごいね!伊藤さんって普段と撮影中とが全然別人だもんね」
「やっぱり思った?わたしも今日すごく思ってたんだ!普段はあんなに優しいのに、撮影中は鬼上司だもんね。」
「うん、本当にすごいよね!」
……
「……空斗くん。」
「どうしたの?」
「今日はクリスマスイブだね。」
「うん。そうだね……」
「空斗くんは今日これからなにか予定ある?」
「何もないけど……」
「じゃあ、解散した後は一緒に過ごさない?」
わたしは思い切ってみた。今日伊藤さんの話してくれた言葉を思い出しながら。
「……いいの?」
思ってもいなかった言葉が返ってきた。
「え、空斗くん嫌だったかな?」
「全然嫌じゃないよ!ただ…いいのかな?って思って」
「どういうこと?」
「ほら、明日一緒にお台場に行ってくれるじゃん。だから、「今日も一緒に……」だなんて言ったらしつこいって思われちゃうかな?って思って」
びっくりした。空斗くんがわたしと同じことを考えていただなんて。
「しつこくないよ!わたしは空斗くんと一緒にいられることがすごく嬉しいから!」
「ほんと!?」
彼は子供のような純粋な眼差しでわたしを見ている。
「ほんとだよ!だから嫌われちゃうかもとか、しつこいだなんて思わないからこれからはなんでも素直に言ってね!」
わたしも空斗くんにしつこいって思われてしまう事が怖かったってことは言えなかった。わたしは少しかっこつけていたと思う。
「……本当に素直になんでも言っていいの?」
今度は疑心暗鬼な目でわたしを見ている。
「なんでも素直に言っていいから!ね?」
わたしは空斗くんの姿を見て優しくそう答えた。
「じゃあ、おれすごく素直になるからね。…知らないよ?」
「え、なにが?でも、わたしは素直な空斗くんであってほしいって思うから、いいよ!」
「ありがとうね!嬉しいけど、恥ずかしさもあるな……」
「なんで?」
「……わからない」
ほんとに恥ずかしそうにそう答える空斗くんが愛くるしかった。

何も変わらず



こんにちは。


Airが一通り書き終わって、少しほっとしていて、あまりパソコンを最近は開けていません。

3月いっぱいで契約も切れました。

だから僕はその分野においてはフリーの身です。


ですが、僕はボーイズサイドをすごくやりたかったんですよね。

しかも本当に書籍と言っていいのか、文豪的と言っていいのか。

とにかく今までの読みやすさを重視したものから、文章としてお固めで少し難しくしたものを。


そんなことを最近思っています。



お仕事は正直楽しいです。

周りの人達に恵まれていると思います。

本当にありがたいです。


しかし、同時にある程度時間が経った後での転職も考えています。

それは一身上のいろいろな理由です。

本当に今の仕事の何かが嫌だというのは今のところはありません。

ですが、自分の将来を考えるにおいて少し思うこともあるので、転職も悪くないと思っています。

……転職したら給料は少なくなりそうですがね。

でも、もっと大切なことがあると僕は思っています。


では、また。




何年経っても



こんばんは。


4月はいろいろと新しいことが始まる季節ですよね。

例えば環境とか。


実は僕自身もその1人です。

僕も新しい環境に飛び込んでいった人間です。

新しいことばかりに触れてばかりの日々です。


人生は一度しかありませんので、まだ僕自身体験していませんのではっきりとは言いきれませんが、でも僕は確信していることがあります。

この新しい風は必ず緊張の糸が解け、徐々に崩れていくはずだということを。


最初だけだって僕は思っています。


なんのことを言っているのかというと、意味不明なままで結構です。


しかし、それでも僕は言いたいです。

最初だけだって。


勉強だってそう、スポーツだってそう、だと僕は思っています。

大切で必要なものは透視力だって。

圧倒的な危機管理能力と予期能力が必需品だって僕は考えています。



では、また。




「Air」.93

「今の演技凄く良かったわよ!生き生きしている感じがして。希ちゃんの演技を見ていると、私みたいなおばさんにはやっぱりないモノを感じるから羨ましいわ」
「そんな、わたしは今も伊藤さんの演技を心から見入っていました。わたしはまだまだ力不足だってことを痛感しています……」
「私には私に求められているモノがあって、希ちゃんには希ちゃんに求められているモノがある。だから、そこまで気にすることなくていいのよ。ただ、こんなおばさんの演技でも参考になる部分があったら参考にしてみてね」
「はい!わたしなんて学ぶことばかりですから。」
「……っ」
伊藤さんはなにかを言おうとしたんだけれども、それを直前でやめた。そして、わたしの向こう側を見つめて少し考え事をしているみたい。
「どうかしましたか?」
「ちょっと昔を思い出しただけよ」
「むかし…ですか?」
「そう。…お姫様って女の子の夢よね。希ちゃんはどう思う?」
「わたしも憧れは正直あります……」
「おとぎ話の世界じゃなくても、みんなお姫様になれるのよ。ただ、いつでもなれるわけじゃない」
「どういうことですか?」
「私はもう主役にはなれないってことよ。私、さっきお姫様が輝いていられる訳が分かった気がするのよね。それは…ううん。やっぱりなんでもない。それよりも、希ちゃんは今日は何か予定あるの?」
「今日はなにも……」
「今日もいつものマネージャーさんに帰り送っていってもらうの?」
「その予定ですけど。」
「今日はクリスマスイブよ、希ちゃん。迎え、断った方がいいんじゃない?」
正直自分の中でも悩んでいた。今日はクリスマスイブだし空斗くんと一緒に過ごしたいって気持ちはある。でも、明日会うのに今日も「このあと一緒にいよう。」って言ったら、彼に「しつこい」って思われてしまわないか不安だったから……
「どうしよう……」
「嫌なわけないでしょ。それに「しつこい」なんて絶対思われないから大丈夫!」
「え?なんのことですか?」
伊藤さんってもしかしてわたしと空斗くんのこと知っているの?でも、昨日の今日だし、わたしも空斗くんもきっと現場の人達には話していないのに。
「とぼけたってダメよ! わたし、「女」を何年やっていると思っているの?連絡してきなさい。もし監督が戻ってきたら「トイレ」だって言っておくから」
「伊藤さん…ありがとうございます。わたし行ってきます!」
「いってらっしゃい」
そう話してくれた伊藤さんの表情からは暖かい優しさが感じられた。でも、ほんの少しの悲しみが一部分も見えたような気がした。わたしは控用のイスに戻ってポーチからケータイを取り出してポケットにしまった。
「すいません、ちょっとトイレに行ってきます。」
「ああ、いってらっしゃい」
スタッフさんに一声かけてわたしは現場を離れた。
人の「優しさ」ってもしかしたらほとんどは「悲しみ」が材料になっているんじゃないのかなって、そんなこと考えながらわたし歩いていたんだ。