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passing

小説や作詞について書きますし、余計なこともたくさん、そして自分の決心について日々思うことなんかも書くかもしれません

「Air」.82

「空斗くん。」
「どうしたの?」
「行く場所はまだ教えてくれないの?」
「うん。。まだ内緒でもいいかな?」
「わかった。」
「ごめんね」
「ううん。大丈夫だよ!ただ、気になっていただけだから。」
「そっか」
 今はまだ空港だけれども、これからどこに行くのかな?やっぱり空港内のお店とかかな?わたしはそう考えていたの。だから、隣を歩く空斗くんがエスカレーターを降りてからモノレールの改札口に向かっていることに気付いた時はびっくりした。
「え、モノレールに乗るの?」
「そうだけど、嫌だったかな?」
「違うの!嫌なんじゃなくて、モノレールに乗るだなんて思っていなかったし、それにわたし初めてモノレールに乗るから嬉しいんだけれど、少しびっくりしちゃったの。」
「のぞみさんモノレールに乗ったことなかったの?」
「うん。モノレールが走ってる姿なんかは見たことあるんだけど、実は乗ったことがなくて、、だからこれから乗れるのが楽しみだよ♪」
 素直に嬉しかったんだよ、本当に。
「それならよかったよ。じゃあ、乗ろうか!」
「うん!わたし切符買ってくるからちょっと待っててね。」
「のぞみさん」
 彼はわたしの名前を呼ぶと、ポケットからお財布を取り出してお札入れのところを開いたの。
「これ、、」
 彼は少し恥ずかしそうになにかの紙のようなものを差し出した。……でも、よく見てみると。
「これってモノレールのチケット?」
「うん、そうだよ」
「…わたしにくれるの?」
「うん。。」
「ありがとうね。でも、いつ準備してくれたの?」
「今朝だよ」
「今朝のうちに買っておいてくれたの?」
「今日はのぞみさんの誕生日だから…」
「ありがとう、空斗くん。。」
 わたしは彼が差し出してくれたチケットを両手でゆっくりと受け取ったの。そのチケットはなんだか温かった気がする。いや、違う、温かったのはわたしの方。
「じゃあ、行こう!」
 彼はもう1枚のチケットをわたしに見せて笑顔でそう言った。
「うん!行こう♪」
 彼がくれたチケットを持って、わたしは改札口の中に入っていった。この時はもう行く場所なんてどこでもよかったの。だって、すでに幸せだったんだもん…わたし。