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passing

小説や作詞について書きますし、余計なこともたくさん、そして自分の決心について日々思うことなんかも書くかもしれません

「Air」.83

 ホームに着くとちょうど快速のモノレールが来たところだったんだ。空斗くんはそのモノレールを見て迷うことなくわたしを中に案内した。だから少し遠いところに行くのかな?って思ったんだ。モノレールの中は空いていた。先に中に入ったわたしは2人用の席の奥に座ったの。空斗くんはなにも言わずにわたしの隣に座った。2人の距離は確実に近づいていたと思うの。それは席だけじゃなくて、心の距離も…
「のぞみさん?」
「……んん。。あれ?…もしかしてわたし寝ちゃってた?」
寝ちゃうだなんてもったいないよ…。モノレールに乗って少しお話したらわたし寝ちゃってたんだ…でも、寝ている間は今までに感じたことがないような不思議な安心感に包まれていたの。
「うん。ぐっすりだったよ」
「えっ、なんで起こしてくれなかったの?」
 やっぱり起きて空斗くんとお話していたかったな。
「疲れていると思ったから起こさなかったんだけど、起こした方がよかったかな?」
「うん。だって…」
「…ごめんね。もう少ししたら降りるからね」
「うん、わかった。」
 窓の外の風景がわたしの目に入った。それはとても綺麗だったの…見えているものは同じはずなのに、お父さんの車から見える景色とは別物のように見えたんだ。それに、ドラマの顔合わせ会に初めて行った時の吉田さんの車から見えた景色ともまた別物だった。
「We will soon arrive at Hamamatsu-cho,Hamamatsu-cho .
Please ……
「ここで降りるからね」
「うん!」
 わたしたちは一緒に席を立った。
 駅を出てからは2人でお話をしながら歩いたんだ。歩いている時、何度も東京タワーが目に入った。何回見てもやっぱり素敵だからさ。

 わたしはまだどこに向かっているのかわからなかった。でもね、空斗くんの隣を歩いている。ただ、それだけでわたしは嬉しかったんだ。
「よし、着いたよ!」
 大きな公園を出て道路の前に出ると彼はそう言った
「え、どこに?」
「あそこだよ!」
 彼が指さす方を見ると…そこには東京タワーがあったの。
「え!? 東京タワー!?」
 まさか東京タワーに向かっていただなんてわたしは少しも考えていなかった。だからこの時すごくびっくりしたんだ。
「そうだよ!…のぞみさんは家から近かったし、見慣れているから嫌だったかな?」
「そんなことないよ!だって、東京タワーは大好きだし、それにここまで近くになんて普段は来ないし、、」
「じゃあ、あんまり登ったりもしていないの?」
「うん。実は1回しか登ったことがないんだ。それもこどもの頃だったからあんまり覚えてなくて、」
「それはよかった!」
「え?」
 彼は喜んだ顔をしていたの。
「こっちも今日の朝に来てたからさ」
「……え、もしかして、、」
「うん。準備してあるよ。行こう!」
「空斗くん、、ありがとう!」

 わたしは本当に嬉しかった。わたし、誰かにこんなにしてもらったことなんてなかったからさ… 少しだけお姫様になった気分だったの。すごく恥ずかしいんだけど、それと同じくらいすごく嬉しかったんだ…