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passing

小説や作詞について書きますし、余計なこともたくさん、そして自分の決心について日々思うことなんかも書くかもしれません

「Air」.87

これが空斗くんが選んだ人生。そして、希に与えられた人生。

人生に正解なんてものは最初からないのかもしれない。でも、客観的に考えて空斗くんにとって正しい判断だったのか、それは正直分からない…空斗くんのそういう優しすぎるくらいの思いやりが、運命を変えたんだってわたしは思っている。
ありがとう。
たくさん泣いたけど、それでも空斗くんの想いが嬉しくて仕方ないんだよ。でもね、今のわたしにはあなたのくれた優しさがちょっぴり痛いんだ……

二人はその後も時間を忘れてお話を続けていた。それは楽しいからってこともあったけど、それだけじゃない。今こうしてここから見てみると、それはお互いのことをもっと知りたいからのようにも見えるんだ。
素敵だね……
綺麗な夜景を背景に、希は空斗くんとお話をしているの。今では、人生にこれ以上の喜びはないのかもしれないって感じるんだ。

 

それから二人は時間を確認すると大展望台を降りた。時間がもう夜の9時半を過ぎていたから。空斗くんは電車の方向が逆なのにわざわざ希を送っていった。なんでだと思う?それはね、驚くぐらい単純な理由なんだ。
希の最寄り駅に着くと、二人ともお互いに精一杯の感謝の気持ちを伝え合っていた。
そんな関係って…いいよね。
それにね、一番最後に彼は慌てて誕生日プレゼントを希に渡したの。本当は東京タワーで渡す予定だったみたい。でも彼は告白がうまくいったことで誕生日プレゼントのことなんて頭から飛んでしまっていたの。それはね、空斗くんの胸がいっぱいだったからなんだ。…目の前にいる1人の女性が、空斗くんをそうさせたの。駅の改札口前、それは東京タワーの大展望台よりも断然ロマンテックに欠けていたけど、希はこれ以上ないくらいの嬉しさのなかでプレゼントを開けたんだ。彼が希にプレゼントした物は、ピンクゴールドのピアスだった。希はその場でピアスを付けた。空斗くんもすごく喜んでいたの。それから希はそのまま改札口を出て空斗くんとこの日はバイバイをしたんだ。
希は家に着いたらすぐにケータイを開いた。空斗くんと早く繋がりたかったから…でも、空斗くんのが早かった。内容は今日のお礼とこれからよろしくお願いしますってこと。希も同じことを自分の言葉で空斗くんにお返事して伝えたんだ。

 

急に話変わるけど、空斗くんの「好き」のパワーって本当にすごいんだよ!
どれぐらいすごいのか教えてあげるね!
ある日、希が空斗くんと一緒にお出かけした日のことだけど、希は大切なものをそのお出かけの最中にどこかで落としてしまったの…それに気づいた時間は夜の9時過ぎ。でもね、その話を聞いた空斗くんは疲れているはずなのに、希の落としたものを探すために寮を出た。希にとってそれがどんなに大切なものか空斗くんには分かっていたから。それに、希が失くしてしまったかもしれない不安で仕方なかったことも空斗くんは知っていた。なによりも、大好きな希のことを思うとじっとしていられなかったの。でも、それよりもびっくりしちゃうのは、空斗くん見つけちゃったんだ、希の落とし物を。すごいよね?本当に見つけちゃうだなんて……
それに違う日には空斗くんは希のことを映画に誘ったの。ある映画シリーズの歴代の作品の選挙が行われていたことがあったんだ。そのシリーズの中には希の大好きな作品もあった。でもね、選挙で1位に選ばれた作品しか映画館で再上映されなかったの。そのシリーズの映画は30作品以上もあった。投票が始まったばかりの結果なんて全然わからなかった時に、「のぞみさんが大好きな作品がまた上映されるから!」って言って、空斗くんは映画館に行く気満々だったの。「絶対にあの作品が1位だ!」って彼は言ってた。でも、本当に1位になって再上映されたの……
また別の日に希と空斗くんがお出かけしていた日、希は体調を崩してしまったの。空斗くんは必死に病院を探して希を連れて行った。しかも、一緒に診療室まで入ってすごい真剣にお医者さんの話を聞いていたんだよ!彼は、希のことが心配で心配で仕方がなかったから……
それにまた別の日には…話しすぎちゃったかしら。じゃあ、また違う機会にお話しますね。今話したことは希と空斗くんのこれからの日々の一部なんです。2人はまだ知らないよ。このことも、それからのことも……
おやすみなさい、希、空斗くん。