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passing

小説や作詞について書きますし、余計なこともたくさん、そして自分の決心について日々思うことなんかも書くかもしれません

「Air」.98

「ここだよっ」
「この公園もとっても素敵だね。」
レンガ作りと自然が融合したおしゃれな公園があった。空斗くんは素敵な場所をたくさん知ってるんだな……
「うん。おれも好きで汐留に来た時は必ず来てるんだ」
「そうなんだね。それに空斗くん、よく食べないで我慢出来たね!」
「ほんとだよ…食べたくて仕方なかったよ」
「ふふっ、食いしん坊さんなんだから。ベンチに座って食べようね。」
「うん」
わたしたちは近くのベンチに座った。ここの公園全体のデザインもすごくおしゃれだった。
「じゃあ、食べていい?」
「いいよ。」
彼は勢いよくジェラートを口にすると、とびっきりの笑顔に変わった。
「美味しい?」
「うん!とーってもおいしいよ!」
「よかった!わたしも食べよう。」
空斗くんはチョコレートのジェラートを、わたしは抹茶のジェラートを注文した。空斗くんはいつもチョコか抹茶味を食べてるんだって。それで今日はチョコを注文していたから、わたしが抹茶を頼んだの。
「うん!とっても美味しいね!」
わたしがそう言った時、彼はジェラートに夢中だった。
「……え、うん。抹茶もすごく美味しいよね!」
「空斗くんいまジェラートに夢中だったよね?」
「うん、ごめん」
「いいよ、許してあげる。空斗くん甘いもの大好きだもんね!」
「ありがと…本当に甘いものには弱くて」
「そういうこどもみたいな空斗くんの表情もわたしは好きだよ。」
「え…ありがとう」
「……空斗くんは抹茶も好きなんだよね?」
「うん、好きだよ」
「じゃあ、はい。」
わたしは空斗くんの口に向かって自分のジェラートを差し出した。
「え、そんな…大丈夫だよ」
「好きなんでしょ?」
「でも……」
「いいから。」
わたしのその姿を見て彼は左手を出した。
「いいよ。」
わたしは首を横に振ってそう言った。
「……ありがとう」
彼はわたしのジェラートを一口食べた。
「美味しい?」
「……わかんない」
「なんで?空斗くん抹茶のジェラートが好きなんでしょ?」
「そうだけど、恥ずかし過ぎて味がわからない」
「……空斗くんって本当に恥ずかしがり屋さんだよね。」
「恥ずかしいことだけは本当にダメなんだ……」
「でも空斗くんはすごく素直だから。だから…わたしは素敵だって思うよ。空斗くんのそういうところも。」
「え、うん。ありがとう」
「……ねえ、空斗くん。」
「なに?」
「わたしにも空斗くんのちょうだい。」
「……うん」
彼は右手をわたしの口の前にそっと持って来た。優しく一口…それはとっても甘かったんだ。
「おいしいね!」
「希は味わかったの?」
「もちろんわかったよ!」
「そっか」
そう言って彼は少し落ち着くとジェラートをまた一生懸命食べ始めた。その姿がやっぱりかわいくてさ。
わたしはその後もう一度食べさせてあげたんだ。