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passing

小説や作詞について書きますし、余計なこともたくさん、そして自分の決心について日々思うことなんかも書くかもしれません

「Air」.105

「なかなかいいの見つからないね」

モールの中を一通り歩いてみたけど、どのお店の物もわたしの好きな感じじゃなかった。でも、空斗くんに探すの付き合ってもらったのに何も買わなかったらやっぱり悪いよね。

「ごめんね、やっぱりさっきのお店のやつにしてくる。わたし買ってくるよ!」

「買わなくていい!」

「え?」

「おれに気を遣ったでしょ」

「いや、そんなことは……」

「あれを気に入ってたなら、その時買ってたでしょ。おれに気は遣わなくていいから、希が本当に気に入った物を買って欲しいな」

「ありがとうね。でも、もうハンドクリーム売ってるようなお店はないし……」

「それなら他のモールに行かない?」

「え、お台場を離れちゃうの?」

「離れないよ。ここの近くにもう一つショッピングモールあるの知ってる?」

「え、知らない……」

「近くにあるんだよ。それにきっと希は気に入ってくれると思うんだよね。そのモールの雰囲気を」

「どういう雰囲気なの?」

「それは…、行ってからのお楽しみで」

「じゃあ、早く行こう!」

「うん」

わたしは空斗くんについていった。

お台場は家族で何度も遊びに来てたから、自分では詳しいと思っていたの。でも、本当に空斗くんはいろんな場所を知ってるんだな。

「ねえ、空斗くん。」

「どうしたの?」

「そのモールってどれくらい近いの?」

「ここを出て5分も歩かないくらいで行けるよ」

「そんな近くなの?」

「そうだよ。まあ、行ってみればわかるよ」

「うん。」

わたしが好きそうな雰囲気のモール。そんな近くにあるのかな?全然思い当たる場所がないや。

「……本当に近くにそんなモールがあるのか不安でしょ?」

「え、そんなことないよ!」

「嘘だな。絶対にそう考えていたでしょ?」

「……うん。でも、空斗くんはなんでわたしの考えていることがわかったの?」

「理由は二つかな」

「二つ?」

「一つ目は、おれも初めてそこに行った時びっくりしたから」

「え、空斗くんびっくりしたの?」

「うん。友達と遊びに来た時に初めて見つけたんだけど、こんなところにこんな場所があるんだって驚いたからさ」

「じゃあ、気付きにくい場所なんだね。」

「普通にお台場を歩いているだけじゃわからないとは思うな」

「そうなんだね。それで二つ目の理由は?」

「希のことが少しだけれども、理解できるようになってきたから。本当にほんの少しだと思うけど、でも少しづつ、確実に」

「空斗くん…ありがとうね。わたし嬉しいよ。でも、わたしも空斗くんのこともっと知りたいな。」

「ありがとね、おれも嬉しいよ。これからもっとお互いのこと知っていけたらいいなって思うよ」

「うん、わたしもそう思うよ。」

「……これからもよろしくね」

「え…そんな、改めてそう言われると恥ずかしいよ。」

「じゃあ、違う話をする?」

「うん。」