読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

passing

小説や作詞について書きますし、余計なこともたくさん、そして自分の決心について日々思うことなんかも書くかもしれません

「Air」.106

わたしがそう答えると彼は足を止めた。

「ここだよ。ショッピングモール」

「え、話変わるのが急すぎない?」

「だってさ、やっぱり恥ずかしかったからさ……」

「自分がそう言ったんじゃん!」

わたしは思わず笑ってしまった。

「まあ、そうなんだけどね」

目の前の建物を注視した。でも、ここが本当にショッピングモールなのか不審に思った。外から見ていると何かの展示場のような場所にしか見えない。それにここの前は何度か通っているからこの建物も見たことはあった。

「わたしこの建物知ってる。」

「大きな建物だから目立つし見たことはあるよね」

「うん。でも外から見てる感じだとなんの建物かわからないし中には入ったことなかったな。」

「おれも一緒、最初は何の建物かおれもわからなかったよ。外観のセンスがないんだよね。とりあえず中に入ってみようか」

「うん!」

わたしたちは一緒に正面の自動ドアから中に入った。中に入ってすぐの突き当りを曲がると雰囲気が変わった気がした。通りに入るとイタリアのベネツィアのような造りが見られた。そしてさらに奥に進むと、噴水があった。噴水はローマの休日の舞台になったバルカッチャの噴水のようだったの。

「すごい……」

「びっくりしたでしょ?」

「うん!お台場にこんな場所があるだなんて知らなかった。」

「あの外観じゃこの雰囲気は想像できないもんね」

「確かに。外観と中のギャップがすごくある。…ここ、昨日の汐留に少し雰囲気似てるね。」

「似てるよね。昨日、希が汐留を気にいってくれたから、きっとここも気にいってくれるだろうなって思ったんだ」

「だからわたしが好きな雰囲気だって話してくれたの?」

「そういうこと」

彼は優しい笑顔でそう答えた。……空斗くんすごいな。

わたしの好みをもう理解しちゃってるんだもん。ずるいよ、そんなの。

「ありがとね。昨日、今日とわたし空斗くんに素敵な場所教えてもらっちゃった。」

「そう言ってもらえたなら何よりだよ。もう少し奥に行くとまた違うものがあるんだ」

「わたし見たい!」

「うん、見に行こう」

そう言って足を前に出した瞬間、頭が少しふらっとした感じがした。

なんだろう。ただの一時的なものかな?

わたしの左足が二歩目を踏み出した時には、そのことはもう気にしていなかった。この先になにがあるのか気になっていたし、わたしはすっかりこのモールの雰囲気に心が惹かれていたから。

そして、モールの奥に進むと教会があった。

「とってもおしゃれだね。」

「ここに教会があるだなんてびっくりでしょ?」

「うん!全然想像できなかったもん。」

「そうだよね。…ここも気に入ってくれたかな?」

「うん、お気に入りだよ!教えてくれてありがとう。」

「どういたしまして。もう少し見てる?それともハンドクリーム探してみる?」

「うーん。とりあえずハンドクリーム探しちゃおうかな。」

「わかった。じゃあ、探しに行こっか」

「うん。」