passing

小説や作詞について書きますし、余計なこともたくさん、そして自分の決心について日々思うことなんかも書くかもしれません

「Air」.127

……社長に電話しよう。連絡先を開いて一昨日登録した社長の電話番号をわたしはタッチした。

プルプルプル♪プルプルプル♪プルプル…ガシャッ

「はい、もしもし」

「社長、私です。横山です。」

「ああ、横山さん。どうしたのかしら?」

「……社長の言っていた言葉を信じました。」

「あら、そう。それはよかったわ。あなたには素晴らしい未来がきっと待っているわよ。それじゃあ、わたしは仕事があるので、じゃあね」

プチッ

わたしが「失礼します」と言葉にする前に電話は切れてしまった。

 

家に帰ってきて夜も遅くなった時間、わたしはお母さんの部屋にいた。お母さんに今日のことを話したんだ。お母さんは「それでいいのよ。何も間違ってない。希には素晴らしい未来が待っているわ」って話してくれた。わたしもそう思う。これからこの広い社会でわたしは活躍して、いずれは世界へと羽ばたいていくのだから。それにね、お母さんと最後には約束もしたの。とはもう関わりを持たないって。

 

 

 

希はそうベッドの上で強がっていた。「自分は間違っていない。間違っているのは空斗くんだ。」、「空斗くんは社会の事も世の中の事も何も知らない人間なんだ。」、「わたしの方が「大人」なんだ。」って。そう自分に何度も言い聞かせていた。

 

実際、空斗くんは「社会」のことも「大人」もよく理解していた。でも、彼自身は「社会人」にも「大人」にもなるつもりなんて更々なかったの。