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小説や作詞について書きますし、余計なこともたくさん、そして自分の決心について日々思うことなんかも書くかもしれません

「Air」.137

「今回のドラマは順調か?」

「どうでしょう…まだ中盤に差し掛かったくらいですしね。」

「そうだよな。まあ、ベストを尽くせば自ずと結果はついてくるんじゃないの?」

「吉田さんが思うベストを尽くすって具体的にはどういうことですか?」

「具体的にって言われると難しい気もするけど、まあ、目の前のことを一つ一つ丁寧にこなしていくことなんじゃねーの?」

「一つ一つ丁寧にですか。」

「俺が思うにはだけどな。今回はせっかくデビュー時と同じ武井監督に世話になっているんだから監督にいろいろ教えてもらったらどうだ?」

「…そうですね。」

本当は監督に聞きに行くのが怖かった。「下手だね」とか、「成長してないね」そんなことを言われてしまうんじゃないのか、もしくは直接わたしにそう言わなくても裏ではそう思っているんじゃないのかと思うとすごく怖かったから…… それに監督は前回指揮した作品の平均視聴率が11パーセントを越えている。そのドラマの主役は由紀だった。監督は心の中では絶対に同い年のわたしと由紀を比較している。どっちの方が監督の評価が高いかなんて絶対にわかりきってるもん…そう思うと監督に常に見られている状態での撮影は苦しくて苦しくて仕方なかった。