passing

小説や作詞について書きますし、余計なこともたくさん、そして自分の決心について日々思うことなんかも書くかもしれません

「Air」.138

家に帰って来るとわたしはパソコンを開いた。動画サイトで「アフター5の恋」を見るの。

わたしには後がない…学生時代の同級生たちはみんな社会人として立派に働いている。それなのにわたしは… そう思うと焦りしか生まれなかった。最近はSNSのタイムラインもほとんど見ない。見てしまうとわたしだけが置いていかれてしまっているような、そんな感じがしてしまうから。

………

コンコン

「お姉ちゃんいる?」

「うん。」

「入っていい?」

「いいよ。」

百合が部屋に入ったから、わたしは動画をストップさせた。

「お姉ちゃんまたこれ見てるの?」

「うん。わたしが一番上手に演じていた頃だからね。」

初めての作品なのに?」

「確かに初めての作品だったけど、でも今と比べても確実にこの時の感覚がすごくよかったから。」

「だから何度もこの作品を見ているの?」

「そうだよ。」

「…呆れた。お姉ちゃんはこのちっぽけな画面の中に答えを探しているんだね

「別にそういうわけじゃないけど…

「そういうわけだと思うよ。…あの頃のお姉ちゃんすごく生き生きしていたよ!その時はお母さんだっていつも朝ご飯食べている時そう言って

「そうだったかな?忘れちゃったや。」

「忘れたことは覚えているのに?」

嫌味が一切見えない純粋な表情で百合はわたしの目を見つめていた。