passing

小説や作詞について書きますし、余計なこともたくさん、そして自分の決心について日々思うことなんかも書くかもしれません

「Air」.139

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 撮影を終えたわたしは東京湾沿いの道を歩いている。

 今日撮影スタジオは同じ港区の芝浦にあった。だから、ケータイで地図アプリを開いたら、お家から4キロくらいだった。だから吉田さんにも断って歩いて帰っているお散歩は好きだしいい気分転換にもなるから。

右の手首に目を向けて時間を確認する。会社で働いている人たちはまだオフィスで仕事をしているような午後の時間だった。

そんなことを思いながら目の前のT字路を右に曲がると大通りへと出た。この道をしばらく真っすぐに行けば家の近くに行ける。だから何も考えずに歩いていても道を間違えることはない、って考えていた。

でもね、少し歩くと左上に高速道路を走る車たちが目に入った。……2年前、空斗くんと教官と一緒に空港から新木場に向かった時はこの道路を走っていたんだよね。吉田さんにも、お父さんとも何度も通っているはずの道なの真っ先に浮かんだ思い出はそれだった。 

わたしは見る風景を変えようと反対側を見た。東京湾の先には小さくだけれどもレインボーブリッジが見えた。冬の日の短さで浅い夕焼けがかかったその光景に不思議な寂しさを感じた。

しばらく歩き続けるとモノレールの線路が東京タワーの方へと連なっていて、少しすると後ろ側からモノレールが走ってきた。

勢いよくわたしを追い抜いていったその姿に、わたしは痛いほどに心が締め付けられていたの。