passing

小説や作詞について書きますし、余計なこともたくさん、そして自分の決心について日々思うことなんかも書くかもしれません

「Air」.157

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今日の撮影も一日順調に進んだんだけど、一つだけいつもと違うことがあった。わたしがいつものように事務所に着くと吉田さんが見当たらなかった。そしてしばらくすると他の事務員の人がわたしのもとに来て車に乗せて現場まで送ってくれた。その事務員さんは顔見知りの人だったけれども、吉田さんのことは何も話してくれなかった。それに車の中での雰囲気がすごく重くて耐えきれなかったから、帰りは自分で帰ることにした。

「希ちゃん」

家に帰るために荷物をまとめたわたしに後ろから誰かが声をかけた。

「はい。」

後ろを振り返るとわたしよりも先に帰り支度をした熊田さんがいた。

「希ちゃんはもう帰るのかな?」

「そうですけど。」

「よかったらこれからご飯でもどうかな?」

熊田さんにご飯を誘ってもらたのはこれが初めてじゃなかった。でも、今までは演技が上手くいかなかったこともあったから断っていたんだ。それに周りの目もわたし自身の気持ちもあったから…… でも、もう最後だし熊田さんはとても優しい人だから今日はいいかな。

「いいですよ。どこに行くんですか?」

「よかった。また断られるかと思ったよ希ちゃんは何食べたい?」

これといって食べたいも物はないですね。」

「じゃあ、俺に任せてもらってもいいかな?」