passing

小説や作詞について書きますし、余計なこともたくさん、そして自分の決心について日々思うことなんかも書くかもしれません

「Air」.174


それからわたしはお母さまに案内されて式場の中へと入った。式の最中、わたしはお母様の計らいで家族席に座ったの。空斗くんの体はここにはなかったから式は形だけのものだったけど、やっぱり辛かった。そんな時、わたしの隣に座っていたお母様が小さな声で「大丈夫よ、あの子はきっと笑顔だから」って何度も声をかけてくれた。でもね、式が終わってから気が付いたんだ。お母様の目が真っ赤に充血していることを。空斗くんの言った通り、お母様だって絶対に辛かったんだよね、それも度もだもん。

そして式を終え会場を出ると、わたしのよく知っている人が立っていた。

「紗枝さん、一体どうしてここにいるんですか?」

実はね、わたしも成田くんと知り合いだったの」

「え、わたしそのこと知らなかったです。」

「そうだよね、ごめんね。でもね、わたしはそのことを、人の関係のことを深く触ってはいけないってすぐに気が付いたからなの」

「それはどういう意味ですか?」

「…のぞみちゃんは以前、soraは存在すると思うって私に話してくれたと思うんだけど、今でもそう思う?」

「はい。わたしはsoraは絶対にあると思います。」

soraにまつわる話って、実は私たちの修道院では基本的なことなんだ。でもね、それを言ってはいけない人間たちがいるの。…ごめんね、上手く説明できないや」

「いいえ、大丈夫ですよ。」

「ありがとうね。…やっぱりこれ以上は説明できないよ」

「…そうですか。」

「でもねのぞみちゃん。のぞみちゃんがsoraは実在すると思うのなら信じ続けて欲しいの。そしたら必ずsoraに行けるわ。だから、私じゃなくて、soraで答えを、全ての真実を探してきてほしいの」

紗枝さんがsoraのことをなんでこれ以上説明してくれなかったのかはわからない。でも、それが訳あってなんだってことは理解できた。だからこれ以上はもう何も聞かない。そうしないと、紗枝さんもわたしもダメな気がしたから。