passing

小説や作詞について書きますし、余計なこともたくさん、そして自分の決心について日々思うことなんかも書くかもしれません

「Air」.175

「わかりました。説明していただいてありがとうございます。」

「ごめんね、役に立てなくて」

「そんなことありません。紗枝さんはわたしに精一杯できる限りのことをしてくれました。」

「そう思ってもらえるなら私も助かるわ」

「でも、空斗くんと紗枝さんはどうして知り合いだったんですか?人の共通点がわかりません。」

「それはね、あなたと一緒よ」

「え…

「空斗くんの方が若干早かったわね、修道院に来るのが」

「…もしかして空斗くんもわたしと同じ理由で修道院に足を運んでいたんですか?」

「そうよ。彼はドラマの打ち合わせ会が行われた次の日の学校終わりに来たの。彼はとても誠実で優しい人だった

「そうだったんですね、空斗くんも修道院に行ってたんですか。」

「成田くんも何度か修道院に足を運んでくれたのよ。のぞみちゃんとのお付き合いが始まった後も、人が一度離れた時期もね」

「そうだったんですね…

わたし、知らないこと多いな。

「彼は恥ずかしくて本人の前では「好き」としか言えないけど、「愛している」って本当は言いたいって何度もわたしに言ってたわ。のぞみちゃんは彼の「愛してる」は聞いた?」

「いえ、彼は「好き」としか言いませんでした。でも、わたしはそれで十分です。そもそも「好き」と「愛してる」の違いがわたしにはよくわかりませんし。」

「彼は「好き」は自分自身の好きな気持ちなんだって話してくれたわ。でも「愛してる」は、自分の命に代えてでも守りたい大切な人への想いなんだって話してくれた」

紗枝さんの話を聞いて実に空斗くんらしいなって思ったの。そして彼が以前わたしに話してくれたことを思い出した。

「のぞみちゃん、今から言う事は大切なことだから死ぬまで覚えていてほしいんだけど、真剣に聞いてもらえるかな?」

「はい、わかりました。」

「一度しか言わないし、質問も受け付けないからね

「はい。」

わたしは気持ちを引き締めた。

soraに行くことがあったら、私待ってるからね。そしたらそこで全てを明らかにしましょう」

言葉の意味自体は理解のできるものじゃなかったけれど、言葉のそれ自体はわたしの脳に深く刻まれた。

「わかりました。」

「真剣に聞いてくれてありがとね。…向こう側にさっきから待っているような女性の方がいるんだけど、もしかしてのぞみちゃん待ちかしら」

わたしは後ろを振り返るとお母様がいた。

「もしかしたらそうかもしれません。ちょっと行ってきます。」

「わかったわ」

わたしがお母様のもとへ歩き出すと、お母様もそれに気が付いて足を進めた。